
渡部 伸(わたなべ しん)
1973年福井県生まれ。広告デザイナー。1999年に友人数名と『全国童貞連合』を発足し、初代会長を務める。現在の会員数は354人(7月1日現在)。童貞喪失を目指した活動はもちろん、モテない男たちとの交流を通し、「少子化問題は童貞問題」と持論を訴え続けている。著書に『中年童貞~少子化時代の恋愛格差~』(小社)がある。
e-mail:kaicho@cherrybb.jpおうおうこんばんは、全童連会長である。ここ数日、なかなか春らしい陽射しが感じられるようになってきたが皆の衆は元気であるか。
ところで会員達のなかに髪の毛の薄い同志はいらっしゃるだろうか。ちょこざいなことに、実は会長のおでこもかなり広い。何を隠そう私の父親もである。
初めての授業参観を思い出す。私は同級生のお父さんたちの後頭部を見て、今まで自分が見ていた父親の後頭部は実は後ろまで伸びたおでこだったことに気付いた。私は父の背ではなく、おでこを見て育った。残念だが、事実である。
父は由緒正しき自分の家系と遺伝とをよく知っていた。彼にはある計画があった。おでこがむける前に結婚をしてしまおう。先手必勝、父は23歳で私の母と結婚した。母は未だに騙されたと嘆き、父はそのとなりでなにか言いたげにニンマリと笑う。
親の教えを良く守る私である。父のおでこがむけ始めた25歳までには自分も結婚しようと心に誓った。『中年童貞』で書いた初デートでのプロポーズ劇には、今思えば自分の頭の事情もかなり大きな役割を果たしていたことを否定できない。今だから言うが、一度は言ってみたかったのだ。僕の髪が肩まで伸びて、きみと同じになったら、約束通り結婚しよう。
しかし彼女に見事フラれ、25歳の自分の姿を冷静に見てみれば、デートもチューもしたことがないし、これといったこともまだなにもやっていない。結婚という目標すら失われてしまっていたのだ。正直、結婚とかそういう問題ではないことに気付いた。おでこはやっぱり少しずつ上がり始めていた。ハゲはハゲに目ざといのだ。
しかし、あの頃の私はまだマシだった。あの頃の私の髪はまだまゆげにかかることもあった。あの頃は夢を見ることができたのだ。残念ながら、今の私にはすでに前髪がない。カツラもない。せめてピアノが弾けたならと思うのだがピアノもない。君に聴かせる腕もない。俺にいったいどうしろと言うのだ!
……えー、いったいなにを書いているのかよくわからなくなってしまったが、はっきり言ってここまでくれば、おでこのズルムケ化と科学の発展とのどちらが早いかである。最近の会長は京大の山中伸弥教授が発見してくれた万能細胞の進化に全ての期待を賭けている。みんなも毛根再生情報があったら教えてください。ご連絡は全童連二毛作係まで。